幸福・正義・公正について、功利主義や義務論などの考え方をもとに、社会のあり方を考える視点を学びます。
だいじな考え方
- 功利主義は、社会全体の幸福(満足)を最大にすることを重んじる考え方です。ベンサムの「最大多数の最大幸福」という言葉に代表されます。結果として多くの人が幸せになるかどうかで、行為の善悪を判断します。
- 義務論は、結果よりも行為そのものの動機や、守るべき義務・ルールを重んじる考え方です。結果が良くても、不正な手段を用いた行為は正しくないと考えます。
- 社会契約説は、人々が自分の自由や権利を守るために契約を結んで社会・国家を作ったと考える思想です。ロックは抵抗権を、ルソーは一般意志による人民主権を主張し、モンテスキューは権力の集中を防ぐ三権分立を説きました。
- 公正には、機会が平等にあたえられているかという「機会の公正」と、結果の分け方が公平かという「結果の公正」の視点があります。
功利主義と義務論は、同じ問題に対して逆の答えを出すことがある。1つの考え方だけで判断しない。
やりかた
- 考える問題が、結果を重視するか、行為の動機やルールを重視するかを整理する
- 功利主義的に考えた場合の答えと、義務論的に考えた場合の答えをそれぞれ出す
- その問題における「公正」が、機会の公正か結果の公正かを考える
- 自分の考えの根拠となっている思想がどれかを、思想家の名前とともに確認する
れい
問題: ある政策が、多数の人にとって利益になるが、少数の人の権利を侵害する場合、どう考えるべきですか。功利主義と義務論、それぞれの立場から説明しなさい。
- 功利主義の考え方(社会全体の幸福の最大化)を確認する
- 義務論の考え方(個人の権利や義務の尊重)を確認する
- それぞれの立場から、政策への賛否がどうなるかを考える
答え: 功利主義の立場では多数の利益を重視して政策を支持しうるが、義務論の立場では少数の権利の侵害は許されないとして反対しうる
つまずきやすいところ
功利主義を「多数決で何でも決めてよい」という考え方だと単純化する
功利主義は幸福の総量を最大化する考え方であり、少数者の犠牲を無条件に正当化するものではない
社会契約説を唱えた思想家を混同する
ロックは抵抗権、ルソーは一般意志による人民主権、モンテスキューは三権分立というように、それぞれ主張の中心がちがう
たしかめ方
- 身近な決めごとを1つ選び、功利主義と義務論のそれぞれの立場から考えるとどう判断が変わるか、説明できるか確かめる。