細胞の中ではたらくタンパク質、特に酵素のはたらき方と、細胞を包む生体膜の性質を学ぶ単元です。
だいじな考え方
- 酵素は、特定の立体構造を持つタンパク質で、決まった形の基質としか結合できません。この性質を基質特異性といいます。
- 酵素の反応速度は温度が上がるにつれて大きくなりますが、最適温度を超えるとタンパク質の立体構造が崩れ(変性)、急激に働かなくなります。一度変性すると、温度を戻しても元には戻りません。
- pHにも最適な範囲(最適pH)があり、そこから大きく外れても酵素は変性して失活します。
- 生体膜(リン脂質二重層)は、物質を自由に通すのではなく、輸送タンパク質などを介して特定の物質だけを通す選択的透過性を持っています。
酵素は高温・強酸・強塩基で変性すると、元には戻らない。
やりかた
- 反応にはたらいているタンパク質(酵素)を確認する
- 反応が止まった原因が、基質がないのか、変性(失活)なのかを見分ける
- 温度やpHが最適な範囲から大きく外れていないかを確認する
- 一度変性した場合は、条件を元に戻しても反応が再開しないことを踏まえて考える
れい
問題: だ液に含まれるアミラーゼを60℃で長時間反応させた後、37℃に戻してデンプンと混ぜたが分解されなかった。理由を説明せよ。
- 酵素の本体はタンパク質でできている
- 60℃という高温でタンパク質の立体構造が変化した(変性)
- 変性すると基質と結合する部位(活性部位)の形が崩れ、温度を戻しても元の形には戻らない
答え: 高温によって酵素が変性し、失活したため
つまずきやすいところ
酵素は温度が高いほど反応速度が上がり続けると考えてしまう
最適温度までは反応速度が上がるが、それを超えるとタンパク質が変性し急激にはたらかなくなる
すべての酵素が、どんな基質にもはたらくと考えてしまう
酵素には基質特異性があり、決まった立体構造の基質としか結合できない
生体膜は物質を一切通さない壁だと考えてしまう
生体膜は選択的透過性を持ち、輸送タンパク質などを介して特定の物質を通す
たしかめ方
- 反応が止まった条件(温度・pH)を確認し、最適な範囲を大きく外れていたかどうかを見直します。
- 条件を元に戻したときに反応が再開するかどうかで、変性(元に戻らない)か一時的な低下(元に戻る)かを区別します。